ミソンヌの日記

なんでもかんでも

スターバックスに初めて行った日

つい先日、自分の意思で初めてスタバに行きました。

22歳と10ヶ月の女。

確か小学校高学年だか中学生だかの時に一度だけ友達に連れていかれたけど、コーヒーも紅茶も飲めなかったし、オレンジジュースとケーキだった気がする。なにがなんだかよくわかっていなかったし、それはノーカンとする。

 

とっても美味しかった。フラペチーノってやつは甘ったるくて胸焼けがして、飲んだ後に後悔する味だと勝手に思っていた。

ただの思い込みだった。ダークモカチップフラペチーノ。ほんのりコーヒーの香りがして、少しの苦味が爽やかで、甘さもスッキリ消えた。

ただなんとなく行きたくなかっただけだった。勝手なイメージで、言い訳ばかりだった。

 

私は作詞作曲を始めたころ、「かわいくなれない」という曲を作った。

4〜5年前の私は今より全然ひねくれていた。

スタバみたいな、空間からオシャレなお店に躊躇なく行ってSNSに写真をあげるような、

"流行りものやかわいいものごとを取り入れることに抵抗がない、明るくかわいい女の子"

について、こんな詞を書いている。

 

洒落たカフェで飲むやたら高いコーヒー

店の外まで並んだレイディ

きっと流行りの女の子はみんなこんな感じじゃなきゃだめ

私なんか論外 論外

 

…と、かなりピンポイントで皮肉っているが、彼女らを見下したかったわけではない。

 

私は私のことを私と呼ぶまで随分時間がかかった。自分が女らしくあること、他のキラキラ女の子たちと同じように振る舞い楽しむことがずっと許せなかった。結局のところ周りの目を周り以上に気にしていた。恋愛もそうだ。

「かわいくなれない」んだから、片想いなんてしたところで、そんな気持ちが喜ばれるとでも、許されるとでも思っているのか?と、本気で思っていたし、とても苦しかった。

かわいい女の子と並列するのが怖かった。

 

大学に入って2年ほど経ち、20歳になったころから、そのへんの考えを改めるようになった。その自己否定はきっとたぶん他者のことも傷つけてしまうと思ったから。自分を守るためだけに何かに偏見を持つことも、「私はブスだから」「調子に乗ってそんなことするの許されないから」そんな風に言ってしまうことも、辞めなくちゃと思った。卑屈に、自分以外の誰かの可能性まで狭めるような決めつけをするのは、逆に自分本位すぎるなとか、思ったからです。

 

ヘッジホッグとして出した「はきすてる」という曲では、こんなふうに歌っている。

 

恋を覚えてしまった 

今更出遅れたやつだと見下されながら

これまで邪魔をしてきた自分の中の何かをやっと振り切ったのに

愛されて当たり前と思えたなら

普通を羨むこともなかっただろう

 

自分で自分の邪魔をしてきた、それはあまりにも邪悪だった。この苦しみを味わう必要もなく、初めから知っていたみたいに誰かを好きになって、誰かに好きと言える、普通の人が心から羨ましかった。

"流行りものやかわいいものごとを取り入れることに抵抗がない、明るくかわいい女の子"に、本当はずっとずっと憧れていたし、本当に憎いのは、そうなりたいのにどうあがいてもなれない自分のほうだった。

 

自分の中で、正常であるにはこうすべきと決めて自分を縛ってきた考えや方法を、何年も何十年も経って否定するのはとても怖い。

本当はそんなことしなくてもよかったのに。なんて、それを認めるほうが、その瞬間は残酷なように感じるの、なんでなんだろう。

苦しかった。辛かった。みんなが早々と通ってきた道を今更登り始めることに絶望した。

苦しむ必要ないのに長い間苦しんでいた過去の自分が可哀想なのかもしれない。でも、早く解いてあげないと。まだ気付けず拘っていたら、私は今でもずっとずっと寂しいやつだっただろう。

 

話を戻す。

スタバに初めて行ったとき、かなり緊張していた。スタバに行ってないのが逆にステータス的な、あのダサい自分とおさらばできた気がして、心臓がバクバク言っていた。

嬉しかったんよ。スタバの店員さんってめっちゃ優しいし、思っていた以上に何も気にすることなくすんなり入ってすんなり出ることができたし。自分なんかは場にそぐわないとか、誰かがきっとバカにするとか、くだらないこと、もう考えなくていい。

それに、流行りのタピオカのお店だって平気で行けたじゃない。ちゃんと美味しかったよね。もちもちで、黒糖の味が染みてて、最後ちょっとお腹いっぱいになりすぎちゃうけど、「これだから私なんかやめとけばよかった」とかもう思わないもんね。タピオカ撮ってSNSに載せても、どう思われようがどうだっていいし、ぜんぶぜんぶ平気。

ずっと苦しかったね。乗り越えたね、私。

 

今の私にはきっとあのひねくれ腐った詞は書けないと思う。それでも「かわいくなれない」はこれからも歌い続けるし、こんど新しく出すCDにも、録り直して入れるんです。変えられない自分が悲しくて寂しくて苦しくてどうしようもなかったときの私が、愛おしいから。

 

そんなこんなで(?)2月終わりから3月頭くらいのあいだに中島美保名義で6曲入りのCD出します。気になる人はチェックだドン。

自分をまるっと愛せるようになれたら最強だ。

まだまだへたくそだけど、そうやって優しくなりたい。生きる!!!